ニトウコラム
20代の平均貯蓄はどれくらい?中央値とあわせて解説
「同年代の人はどれくらい貯蓄しているんだろう」、「今の貯蓄額で十分だろうか」など、貯蓄に対する疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。お金のこととなると、「友人や同僚には聞きづらい」と感じることもありますよね。
そこで本記事では、20代の平均貯蓄額や中央値について解説します。20代の貯蓄割合についても紹介しますので、ぜひ資産形成を考える際の参考にしてください。
目次
1. 20代の平均貯蓄額
20代の平均貯蓄額は、家族構成によって状況が異なります。ここでは、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」の結果をもとに、「単身世帯」と「2人以上世帯」に分けて、平均貯蓄を確認していきましょう。
1-1.単身世帯の平均貯蓄額
20代単身世帯の金融資産保有額の分布は、下記の通りです。
【金融資産保有額(金融資産保有世帯のみ)】
金融資産保有額 | 割合(%) |
100万円未満 | 39.0 |
100万~200万円未満 | 19.8 |
200万~300万円未満 | 11.0 |
300万~400万円未満 | 7.9 |
400万~500万円未満 | 4.4 |
500万~700万円未満 | 6.3 |
700万~1,000万円未満 | 4.4 |
1,000万~1,500万円未満 | 1.9 |
1,500万~2,000万円未満 | 0.6 |
2,000万~3,000万円未満 | 0.6 |
3,000万円以上 | 0.9 |
無回答 | 3.1 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
上記調査結果より、20代単身世帯の平均貯蓄額は307万円となっています。「意外と多いな」と感じた人もいるかもしれません。ただし、ここで注視したいのが調査結果の「中央値」についてです。
中央値とは、調査結果を金額の少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる数字のことを指します。平均値の場合、極端に貯蓄額が多い人の回答につられてしまうため、より実態に近い数字を確認したいときは中央値を確認することが大切です。
20代単身世帯の貯蓄額の中央値は110万円となっており、平均額と大きく異なることが分かります。
20代単身世帯の約4割は貯蓄がない
さらに注目すべき点は、「貯蓄をしていない世帯の割合」です。先ほどの調査結果は、「金融資産保有世帯」つまり、「預金や金融商品で貯蓄をしている世帯」のみを対象としたものとなっています。貯蓄をしていない世帯も含めた20代の貯蓄額の調査結果は、下記の通りです。
【金融資産保有額(全世帯)】
金融資産保有額 | 割合(%) |
金融資産非保有 | 42.1 |
100万円未満 | 22.6 |
100万~200万円未満 | 11.5 |
200万~300万円未満 | 6.4 |
300万~400万円未満 | 4.6 |
400万~500万円未満 | 2.6 |
500万~700万円未満 | 3.6 |
700万~1,000万円未満 | 2.6 |
1,000万~1,500万円未満 | 1.1 |
1,500万~2,000万円未満 | 0.4 |
2,000万~3,000万円未満 | 0.4 |
3,000万円以上 | 0.5 |
無回答 | 1.8 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
全世帯を対象とした調査では、20代単身世帯のうち42.1%が「金融資産を保有していない」と回答しており、約4割が貯蓄を行っていない状況です。
また、平均貯蓄額が176万円、中央値が20万円となっており、金融資産保有世帯のみの調査結果と比べて大きな乖離があります。
これらの結果から、「20代の単身世帯では貯蓄をする余裕のある世帯がそれほど多くなく、貯蓄があっても100万円以下であることが多い」ということが分かりました。
1-2. 2人以上世帯の平均貯蓄額
次に、20代の2人以上世帯の平均貯蓄額について見ていきましょう。金融資産保有額の分布は下記の通りです。
【金融資産保有額(金融資産保有世帯のみ)】
金融資産保有額 | 割合(%) |
100万円未満 | 30.9 |
100万~200万円未満 | 14.5 |
200万~300万円未満 | 13.6 |
300万~400万円未満 | 10.9 |
400万~500万円未満 | 2.7 |
500万~700万円未満 | 11.8 |
700万~1,000万円未満 | 5.5 |
1,000万~1,500万円未満 | 3.6 |
1,500万~2,000万円未満 | 0.0 |
2,000万~3,000万円未満 | 0.0 |
3,000万円以上 | 1.8 |
無回答 | 4.5 |
参考: 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
同調査によると、20代の2人以上世帯の平均貯蓄額は339万円、中央値は200万円です。
2人以上の世帯になると、ダブルインカムで効率よく貯蓄できることも想定されますが、実際は単身世帯とそれほど変わりない結果となりました。20代では結婚や出産などのライフイベントが発生するなど、収支に変化が生まれる世帯も多いのかもしれません。
2人以上世帯でも3.5割が貯蓄なし
また、2人以上世帯でも「金融資産非保有世帯」を含めた全世帯の調査結果を確認しましょう。
【金融資産保有額(全世帯)】
金融資産保有額 | 割合(%) |
金融資産非保有 | 35.7 |
100万円未満 | 19.9 |
100万~200万円未満 | 9.4 |
200万~300万円未満 | 8.8 |
300万~400万円未満 | 7.0 |
400万~500万円未満 | 1.8 |
500万~700万円未満 | 7.6 |
700万~1,000万円未満 | 3.5 |
1,000万~1,500万円未満 | 2.3 |
1,500万~2,000万円未満 | 0.0 |
2,000万~3,000万円未満 | 0.0 |
3,000万円以上 | 1.2 |
無回答 | 2.9 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
20代の2人以上世帯のうち、35.7%が「金融資産を保有していない」と回答しており、単身世帯と比較するとやや比率が下がるものの、依然として3.5割の人が貯蓄をできていない状況です。
また、平均貯蓄額は214万円、中央値が44万円となっており、金融資産保有世帯のみの結果から大きく乖離する状況となりました。
これらの結果から、20代では2人以上の世帯についても経済的に余裕のある世帯が少ないことが窺えます。
2.毎月どれくらいを貯蓄に回すべき?
毎月の給与から貯蓄を行う際、「どれくらいの金額を貯蓄すればいいのだろう」、「今の金額で十分なのかな」と疑問を感じている人も多いでしょう。ここからは、20代の貯蓄割合について解説していきます。
同調査では、年間手取り収入からの貯蓄割合の結果についても公表しています。詳細は下記表の通りです。
【20代の年間手取り収入からの貯蓄割合】
貯蓄割合 | 単身世帯(%) | 2人以上世帯(%) |
5%未満 | 4.4 | 5.5 |
5~10%未満 | 11.3 | 9.1 |
10~~15%未満 | 14.8 | 8.2 |
15~20%未満 | 1.6 | 4.5 |
20~25%未満 | 9.1 | 20.0 |
25~30%未満 | 2.8 | 3.6 |
30~35%未満 | 8.2 | 10.0 |
35%以上 | 16.0 | 13.6 |
貯蓄しなかった | 31.8 | 25.5 |
平均 | 16.0 | 16.0 |
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」、「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
20代の平均貯蓄割合は、単身世帯と2人以上世帯のどちらも16%となりました。たとえば年間の手取り収入が250万円の場合、1年間で40万円を貯蓄する計算です。仮に1ヶ月ずつ均等に貯蓄するとなると、毎月約3万3,000円を貯めていくこととなります。
一方で、単身世帯と2人以上世帯の中で最も回答割合が多かったのは、「貯蓄しなかった」という選択肢です。20代は経済的余裕がない世帯も多く、なかなか貯蓄に取り組めない世帯も多いのかもしれません。
3. 20代が気を付けたい貯蓄のポイント
ここまで、20代の貯蓄状況について解説してきました。調査結果を参考に貯蓄計画を立てる際には、いくつか気を付けたいポイントがあります。ひとつずつ詳しく解説していきましょう。
3-1.毎月の収支を把握する
社会人になり給与を受け取るようになると、学生の頃とは大きく収支状況が変化します。20代では結婚や出産などのライフイベントから、収支に変化が生まれることもあるでしょう。
貯蓄計画を立てる際は、まず収支の状況を細かく把握することが大切です。「大体これくらいだろう」というザックリとした把握ではなく、「光熱費」や「食費」、「交際費」など項目ごとの詳細を確認しましょう。
毎月の収支がハッキリとすれば、自ずと毎月どれくらいの余裕があるかを把握できます。毎月の貯蓄額はその範囲内で設定するとよいでしょう。
もし「収支がマイナスになる」という場合は、「減らせる支出はないか」と支出の見直しをすることがおすすめです。
3-2.無理のない貯蓄計画を立てる
貯蓄計画を立てる際は、無理のない金額を設定することも大切です。貯蓄することを最優先にしてしまうと、「お金を貯めなくちゃ」という義務感でいっぱいになり、かえって嫌気がさしてしまうかもしれません。
毎月の収支から無理のない貯蓄金額を設定して、趣味やスキルアップに費やす余裕を残すことも意識しましょう。特に、20代はたくさんの経験をすることで自分の可能性を広げられる年代です。「生活を切り詰めてでも貯蓄したい!」と張り切りすぎるのではなく、日々の楽しみや自己投資にお金を回すことも忘れないようにしてください。
3-3.先取り貯金を実践する
毎月の貯蓄額を決めたら、先取り貯金をすることがおすすめです。先取り貯金とは、給与を受け取ったときに前もって貯蓄額を確保することを指します。
たとえば「生活費から残ったお金を貯蓄しよう」と考えていると、つい使いすぎてしまい「今月は残らなかったな」ということにもなりかねません。余ったお金を貯蓄に回すのではなく、あらかじめ先に貯蓄額を確保しておくことで、毎月確実に貯蓄が行えるようになります。
できれば、給与の受取口座とは別に先取り貯金用の口座を作成しておくとよいでしょう。
4.まとめ
20代の平均貯蓄額は、単身世帯・2人以上世帯のどちらも300万円以上の結果となりました。一方で中央値となると大きな乖離が生まれるうえ、貯蓄をしていない世帯も多く存在しています。
経済的に余裕がない世帯も多い20代では、まず毎月の収支をしっかりと把握することが大切です。貯蓄の計画を立てる際は収支バランスを正確に把握したうえで、無理のない目標を立てるようにしましょう。
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/22bunruit001.html
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/22bunruif001.html